
シンガポールでよくある風邪(呼吸器感染症)
シンガポールで診療していると、一年を通して、いろいろな感染症がみられます。日本では冬にインフルエンザが流行するなど、季節性がはっきりしていますが、シンガポールでは事情が少し異なります。年間を通して高温多湿。さらに、世界中から人の出入りの多い国際都市です。特定のウイルスが一気に流行するというより、さまざまな呼吸器感染症が存在しているように感じます。
政府系クリニック(ポリクリニック)では、急性呼吸器感染症(ARI)の原因となる病原体を継続的に監視しており、週ごとのデータが公開されています。
2026年第6週の報告では、以下のような結果でした。
2026年第6週の報告では、以下のような結果でした。
成人から多く検出された病原体
-
ヒトライノウイルス/エンテロウイルス
-
非SARS季節性コロナウイルス
-
パラインフルエンザウイルス
小児から多く検出された病原体
-
ヒトライノウイルス/エンテロウイルス
-
パラインフルエンザウイルス
-
アデノウイルス
シンガポールのKKホスピタルの入院患者を調べた報告では、それぞれ呼吸器ウイルスには、流行しやすい時期や周期があったとのことです。
-
RSウイルスは小児の入院患者に最も多く見られ、全体の約4割を占めた。特に5月〜9月にかけて増える傾向がある。
-
インフルエンザA型は年に2回、6〜7月と12〜1月に流行の山があった。
-
パラインフルエンザウイルス3型は毎年くり返し流行する。
-
一方で、パラインフルエンザ1型・2型、メタニューモウイルス、アデノウイルスは、毎年ではなく2年ごとに流行しやすいという特徴があった。
このように、シンガポールでは「一年中同じ風邪が流行る」のではなく、ウイルスごとに時期や周期を変えながら入れ替わっているのが特徴です。季節感が分かりにくい国だからこそ、体調管理と予防を通年で意識することが大切です。
また、いわゆる「かぜ症候群(上気道感染症)」は、抗菌薬(抗生物質)が効かないウイルス感染が大半で、基本的な治療は対症療法になります。
発熱、喉の痛み、頭痛、全身のだるさといった症状は、十分な休養と水分補給、そして時間が回復の鍵です。また、家に解熱鎮痛薬(パラセタモールなど)を常備しておくと安心です。心配な症状があればクリニックを受診してください。
参考資料
https://www.cda.gov.sg/resources/weekly-infectious-diseases-bulletin-2026/ Weekly Infectious Diseases Bulletin 2026
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jpc.15267 Respiratory viral infections in hospitalised paediatric patients in the tropics

